Pocket

Taste of Nature

江戸時代からもち食文化が根付く一関


江戸時代に伊達藩が始めたもち食文化が根付く岩手県一関市。この地域に伝わる「もち暦」によると、年間60日もちを食べるのだとか。古くから、もちはこの地域の人にとって食卓に欠かせないものでした。そんなこの地域ならではのもちを味わえるのが、「夢見る老止の館」です。大正時代から残る茶室や蔵、庭園を眺めながら落ち着いてお食事ができる、築200年の旧家を改装した農家レストランです。


このお店には、メニューがふたつしかありません。それは、自家製もち米で作る「もち膳」と四季折々の新鮮な山菜をふんだんに使った「山菜ご膳」です。
彩りが美しい「山菜ご膳」には、店主の佐々木さんが3時間前に近所の山で収穫されたばかりだという旬の山菜が並んでいます。この日は、なます、コシアブラ、つくし、ふき、筍、みず、はたけきのこ、アケビのワイン煮、春蘭、ブラックベリー酒など約10種類ほどの小鉢が並んでいました。

もち膳には、「あんこ」「じゅうね(エゴマ)」「ふすもち(ごぼう)」「沼えび」の4種類のもちが味わえます。「あんこ」から先にに食べるのが地元の人流の食べ方だそう。すりおろしたごぼうとどじょうを醤油で味付けした「ふすもち」は、ごぼうの野性味あふれる香りについ食欲を掻き立てられます。エゴマの香ばしい風味が広がる「じゅうね」と、沼えびの塩気がちょうどよい「沼えび」も、この地域ならではの味。一つのご膳でもちの様々な魅力を楽しめます。

一関の水が育むもち米


美味しい餅をつくる秘訣は、米を育てるときの水にあるそう。店主の佐々木さんが、もち米の一種「こがねもち」をため池からの綺麗な水を使って栽培しています。水の恵みを受けて美味しくなったもち米を熱いうちにすりつぶし、杵と臼を使って時間をかけてつくことで、強い粘り気が出るそうです。

世界を飛び回る出張もちつき隊

元々東京出身だった店主の佐々木さんは、移住してきた一関の伝統食である餅に興味を持ったのがきっかけで、岩手初の餅をメインとした農家レストランを創業されました。もち食文化を伝えたいとの想いから、出張もちつき隊を立ち上げ、全国・世界各地で餅つきを披露されているそう。レストランの他に民宿の経営も始め、地域の子供たちが餅つきを体験できる機会を提供しています。「次の目標は、2020年のオリンピックで餅をつくことなんです。」と笑顔で語る佐々木さんは、まさに「夢見る乙女」のようでした。

記者の感想

もちに対する熱い情熱をお持ちの佐々木さんに、地元ならではの地域の食材にまつわるお話を聞くのはとても興味深い経験でした。ただの食事というよりもむしろ、地域に根付いた文化や歴史を学ぶことができる貴重な機会でした。

 

夢見る老止の館

所在地:〒029-3207 岩手県一関市花泉町油島字上柏木39 (油島駅からタクシーで5分)
電話番号:0191-82-2722
URL:https://www.facebook.com/yumemiruotomenoyakata/
営業時間:11:00~20:30(2日前までに要予約)
定休日:なし

撮影・取材:小森一太・杉本麗百
編集:杉本麗百