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Taste of Nature

裏山で採ってきた新鮮山菜

まるでジブリ映画に出てくるような森の中を馬場目川沿いに進んでいくと、急に開けた田園風景の中に農家レストラン「清流の森」はあります。ここのおすすめはなんといっても、裏山で採ってきた山菜や地域の方々が採った野菜をふんだんに使った「清流定食」。その日その季節ごとに旬の素材が違うから、出てくる料理も毎日少しずつ違っています。毎回メニューが変わる分、常連さんからは「あれはいつ出すの?」というリクエストが絶えないそうです。

「ばっけ(ふきのとう)味噌」「ミズのたたき」「イワナのつみれ」といった小鉢がいくつも盆の上にひしめく中、8月初めの季節らしいズッキーニやかぼちゃの天麩羅も。なんと豪華にデザートのスギナゼリーまで。さらには食事の途中に「ちょっと余ったから作ってみました」と、ミニトマトのシロップ漬け、そしてしそゼリーが運ばれてきました。

従業員のお一人である鉄子さんは、山菜やキノコ採りの名人。それだけでなく、お店の裏庭で夏野菜も自ら育てています。お店の玄関先には、地域の方々による朝どれ野菜が並びます。青々とした色のキュウリやナスが、信じられないような安さで売られています。

美容師から病気を経て、予想外の「農家レストラン支配人」へ

「実は私、ここに来る前は食べるのも喋るのも苦手だったの」と愉快そうに語るのは、現支配人の節子さん。元々東京で美容師として働いていたが病をきっかけに辞め、旦那さんの地元である秋田県五城目町へと移られたそうです。何となしに誘われた農家レストランで、始めは「料理できなくてもいいから」という約束で入ったはずが、あれよあれよと言う間に支配人になっていたのだとか。10年もの間地域に根づいて心身を彩るお料理を提供してきた節子さんは、「ポイントカード」や「おかわり自由制」を取り入れるなどして今でもお店の改良を重ねているそうです。

元々は「釣りキチ三平」からはじまった

ここの農家レストランが開かれたきっかけは、興味深いことに「釣りキチ三平」の映画の撮影だったそうです。「清流の森」からさらに奥へと進んだところにある渓流がロケ地として採用されたのをきっかけに、その通り道沿いに放置されていた元小学校跡地をなんとか活かせないかと、五城目町が「農家レストランの名前コンペ」を行ったことから生まれたそうです。その名の通り、清流と森とに囲まれたこのレストランの隣には、「盆城庵」と呼ばれる茅葺屋根の古民家があります。古い造りを残したままの建物は、完全予約制で宿泊できるようになっているそうです。

記者の感想

味だけでなく、目と耳で楽しめるのがここのレストラン、というのが筆者の感想。お盆いっぱいに並べられた品々を味わい尽くすにはご飯三杯は必要で、満腹になってきた頃に「よかったらこれもどうぞ」と、嬉しくも苦しいおまけの品が出てくるのです(それも当然のことペロッと頂くのですが)。少しお腹を落ち着かせようと窓の外にある森と川の景色に目をやると、片付けに来た店員さんたちが漫才コンビのようなテンポの良い会話をし始める。帰る頃には必ず笑顔になっている場所として、「清流の森」は筆者の行きつけでもあり、心のオアシスのような場所です。

 

清流の森

所在地:〒018-1719 秋田県 五城目町馬場目蛇喰27

電話番号:018-8532577

URL:http://www.seiryunomori.com/

営業時間:11:00~15:00(ラストオーダー14:30)

定休日:毎週木曜日

 

撮影・取材:小森一太

編集:小森一太