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Taste of Nature

北上川のエキスが凝縮された味

岩手県を南北に貫く北上川で、昔から採れてきたモクズガニ。ここ一関市川崎町にある農家レストラン ぬくもりでは、川崎で古くから伝えられてきたカニばっとうの味が楽しめます。「ばっとう」というのはこの地域の方言で、「すいとん」「はっと」「ひっつみ」など全国様々な名称で親しまれている、小麦粉でこねられた麺のことをさします。上海蟹によく似た味と表現されるモクズガニをまるごと1匹すりつぶしてとった出汁は、川のエッセンスのように凝縮された旨み。それを野菜の甘みが優しくつつみこむことで、心落ち着く一品となっています。

こちらの「ばっとうづくし」は、ばっとうを様々な味で和えたもの。もちもちの食感をたのしみながら、じゅうね(えごま)にずんだ(枝豆)、黒ごまに小豆と、さまざまな味に包まれたもちもちのばっとうを堪能できます。

二人三脚でつくる「かにばっとう」

40年間お百姓をされいたというオーナーの千葉秀子(ちば ひでこ)さんは、地域で伝えられてきた味であるカニばっとうを、学校の文化祭やイベントなどで時折出店されていました。それが岩手県の目にとまり、「食の匠」として認定されたことが全てのはじまり。60歳にして新たに「かにばっとう」を広める農家レストランを開くことにしたのです。

昔は一日3回食べることもあったという「ばっとう」は、古くから小麦栽培が盛んだったこの地域ならではの郷土料理。レストランを開業したことで、なんとか新鮮なモクズガニの出汁が1年中味わえるように様々な挑戦と工夫の連続だったそうです。旦那さんが家の近くの北上川の河原でカニをとって、奥さんがそれを加工・調理するという二人三脚。今は道の駅に第2の拠点を構えつつ、伝統の味を継承する後継者育成にも力を注がれています。

 

記者の感想

まるで祖父母の家に帰ってきたような、どこか懐かしいにおい。自然に囲まれた中で食べたカニばっとうは、自分が経験したこともない川遊びの記憶が蘇るような鮮烈な風味と温かな甘みでした。60歳から19年間お店を育て上げられてきたというオーナーさんのエネルギーにも感服しつつ、お腹一杯で帰路につきました。

農家レストラン ぬくもり
所在地:029-0202 一関市川崎町薄衣字上巻121
電話番号:0191-43-2721
URL:http://www.ichitabi.jp/spot/data.php?no=264
営業時間:11:00~14:005名様以上での予約制
定休日:不定休
アクセス:陸中門崎駅より車で10分、一関バイパスより車で30分
*道の駅かわさき(http://www.kawanoakari.com/index.html)に支店あり

撮影・取材:杉本麗百・小森一太
編集:小森一太